お子さんが本当に英単語を読めているか確認する唯一の方法

フォニックス

お子さんが本当に英単語を読めているか確認する唯一の方法

こんにちは。中目黒スマイル英語教室の田中彩子です。

今日は、小学生の英語学習、特にフォニックス学習で多くの人が気づいていない意外な盲点について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

英単語、本当に自力で読めているの?

英語学習の場面で、子どもたちが、学んだフォニックスの知識を応用して英単語を読んでいるように見えることがあります。

しかし実際には、フォニックスを本当の意味で「理解・使用」しているわけではなく、また単語を「自力で読んで」いるわけではないケースも多いのです。

そして、さらに厄介なのは、子どもたち自身も、講師も、そして保護者の方も、この問題に気づいていないことが多いという事実です。

プロンプトとは何か?

ここで重要になるのが「プロンプト」という概念です。

プロンプトとは、学習者に正解を導くためのヒントや手がかりのことを指します。

フォニックスを用いた英語学習においては、文字と音の関係を学ぶ段階で、間接的に「正解」にたどり着くための様々なヒントがプロンプトとなります。

具体的には、以下のようなものがプロンプトに該当します。

英語学習の場で、講師が必要に応じて使用する場合もあれば、お子さんが無意識に使用しているものもあります。

視覚的プロンプト

絵カード:単語に関連する絵を見せることで、その単語を覚える手助けをする。
文字の形:文字を「絵」として認識し、音との関連を理解せずに「読んでいる」状態。

聴覚的プロンプト

聴覚的プロンプト:講師が先に発音することで、子どもがそれを真似る。
他の生徒の発音:周りの子どもの発音を聞いて、自分も同じように発音する。

身体的プロンプト

講師のジェスチャー:単語の意味を表す動作をすることで、その単語の意味の理解を助ける。
リップシンク:講師の口の動きを見て、音を推測する。

感情的プロンプト

講師の表情:正解か不正解かを講師の表情から判断する。
励ましの言葉:「そうそう、もう少し!」といった言葉で、正解に導く。

環境的プロンプト

単語カードの配置:カードの並び順から、次に来る単語を推測する。
教室の装飾:壁に貼られたアルファベットチャートを見て、音を思い出す。

プロンプトは日常的に使用されている

これらのプロンプトは、英語教室で日々、使用されていることでしょう。

プロンプト自体は全く悪いことでは全くありません。

私の教室でも、必要に応じて使用しています。

プロンプトの具体例と問題点

お子さんの学習を助けるためのプロンプト。

しかし、実際にはお子さんの理解や応用力を妨げる可能性があるのです。

それでは、プロンプトがどのように機能し、どのような問題を引き起こすのか、具体例を詳しく見ていきましょう。

絵カードの罠

例:子どもたちが「cat」という単語を学ぶ際に、猫の絵が描かれたカードを見せることがあります。

問題点:子どもは文字と音の関係を学ぶのではなく、絵を見て「猫」と発音することを学んでしまいます。これでは、「cat」という文字と音の関係を理解せずに、単に絵と発音を結びつけているだけになってしまいます。

文字を「絵」として認識

例:「school」という単語は、実際には複雑な文字と音の関係が含まれていて、初心者は簡単には読めない単語の一例ですが、早く読めるようになる子どもたちが多いです。頻出単語であり、子どもたち自身に関係ある言葉であり、文字の並びが覚えやすいためでしょう。

これは大人が「麒麟」という漢字を絵のように認識するのと同じです。「麒麟」なのか「麟麒」なのか、どちらが正しいか見分けられない、という方も多いのではないでしょうか。

問題点:子どもたちは、視覚的な特徴だけで単語を認識してしまうことがあります。結果として、そこに含まれるフォニックスのルールの理解も足らず、新しい単語に出会ったときに読めなくなってしまいます。

講師へのジェスチャーへの依存

例:「cold」という単語を読む場面で、子どもたちがなかなか答えられない際に、講師が寒いというジェスチャー「寒がっている」様子を伝え、それを見た子どもたちが「cold」と言う場合があります。

問題点:子どもは「cold」の発音や綴りと音の関係を学ぶのではなく、ジェスチャーと単語を結びつけています。講師がジェスチャーをしない状況では、単語を思い出せなくなる確率が高くなります。

講師の表情からの推測

例:単語を読もうとするときに、講師の表情を見て「これは違う」「これは合っている」と判断する場合です。講師は親切心から、または無意識に、子どもにヒントを与えてしまいます。

問題点:子どもは自分の理解や知識に基づいて読むのではなく、講師の反応に依存してしまいます。講師がいない環境では、自信を持って読むことができなくなります。

ほかの子どもの発音への依存

例:先生が「read」という単語を読むよう指示したとき、隣の子どもの発音を聞いて、真似て自分も「read」と言っている状態です。

問題点:自分で文字を見て発音するのではなく、他人の発音に頼ってしまいます。皆と同じことができているので、講師も子どもも、「できた。読めた」と感じてしまうことがあります。でも、結果として、一人で読む力が身につきません。

単語カードの配置による推測

例:「Monday」「Tuesday」「Wednesday」と並んでいるカードを見て、次に来る曜日を推測する場合です。曜日のほかにも、月や数字などによく見られます。

問題点:単語の綴りや発音を理解せずに、単に順番を覚えているだけになってしまいます。ランダムな順序で提示された場合、読むことができなくなる可能性があります。

リップシンクによる模倣

例:子どもが、講師の口の動きを見て、音を真似ている場合です。

問題点:文字と音の関係を理解せずに、単に視覚的な手がかりに頼って発音してしまいます。講師の口元が見えない状況では、正確に読むことができなくなります

環境からの無意識的なヒント

例:子どもが、教室の壁に貼られたアルファベットチャートを無意識のうちに参照してしまう場合があります。

問題点:子どもは自分の知識に基づいて読むのではなく、環境からのヒントに依存してしまいます。結果として、異なる環境では読む力が発揮できなくなる可能性があります。

プロンプトの使用で大切なこと

上記はどれも、英語教室で一般的に使われているものです。

プロンプトを使用すること自体に問題はありません。

でも、プロンプトの使用に際しては、次のような視点が重要です。

〇子どもたちが「できている」状態はプロンプトのおかげなのか、自力でできているのか
〇プロンプトを外したときに、どうなるのか
〇どういうタイミングで、どのプロンプトを外せばよいか

ここまで考えてレッスンプランを設計しなければなりません。

でも、これができている学習環境は、意外に少ないのです。

プロンプトの概念とその問題点は、英語教育の専門家や研究者の間では広く認識されているものの、一般的な英語教育現場では十分に浸透しているとは言い難い状況にあるからです。

プロンプト外し

プロンプトの使用に反対するつもりはありませんが、「プロンプトがないと何もできない」状態になることは避けたいですね。

プロンプトがない状態でフォニックスのルールを理解して応用できることが最終目標であり、それ、英語の各種スキルの向上につながります。

そのためには、徐々にプロンプトを外してもできるようにしていかなければなりませんが、その前に、プロンプトがない状態で生徒さんがどこまで理解して使えるようになっているのかを正確に見極める必要があります。

お子さんが本当に英単語を読めているか確認する究極の方法は、「プロンプトをゼロにした状態でお子さんがどこまで読めるか・理解しているか・応用できるか」を確認することです。

やや「スパルタ」的に感じるかもしれません。

しかし、これを行わないと、お子さんの実力と現状が把握できず、効果的な指導ができません。

毎回「プロンプトゼロ」にするわけでもありませんし、適切な方法で行えば、子どもたちは自分の力で「読める」ようになる喜びを感じ、むしろ楽しんで前向きに学習できるようになります。そして、学習効率も大きく改善するのです。

具体的なアプローチ

中目黒スマイル英語教室では、以下のようなアプローチで進めています。

1.不要なプロンプトは使わない
最初からプロンプトを極力減らした学習を「楽しく」行っています。こうした学習に慣れていれば、子どもたちも、プロンプトが急に減ってわからなくなったとか、つまらなくなった、という状況にも陥りません。

2.プロンプトを段階的に排除する
それでも、もちろん、効果的なプロンプトは使用します。しかし、これを段階的に減らしていきます。これにより、子どもたちが徐々に自立して読めるようになっていきます。

3.個別セッションを実施する
定期的に一対一のセッションを設け、プロンプトゼロの状態で子どもたちひとりひとりの理解度を確認します。ほかの生徒もいない状況で、ひとりずつの様子が非常によくわかります。非常に大切な時間です。

4.個別の課題を洗い出し、対策する
セッションの結果に基づいて、それぞれの子どもの課題が明確になるので、対策を考え、弱点を克服できるようサポートします。

5.楽しい学習環境の維持: プロンプトを減らしながらも、ゲーム性をもった学習など楽しい要素を取り入れ、子どもたちのモチベーションを保ちます

お子さんの状況に合わせたアプローチ

もちろん、すべての子どもたちが同じペースで学習できるわけではありません。

お子さんの状況によって、特に多用したいプロンプトも変わるでしょうし、プロンプトの外し方や時期も異なります。

教室や講師が、ひとりひとりの個性や特性を把握し、最適な学習方法を提案できることが必要ですね。

ひとりずつ 徹底的にサポート

最終的にはプロンプトに頼らない学習を基本としつつも、個々の学習スタイルに合わせて柔軟にアプローチを調整していくことが重要です。

お子さんの様子を観察してみましょう

プロンプトについてご理解いただけたでしょうか。

ほかの教室で英語を学んできたお子さんが私の教室にレベルチェックを受けに来てくださることがあります。

プロンプトを多用した環境で英語を学んでいるお子さんの場合、お子さん本人や保護者の方は「読める」「わかる」と思っていても、プロンプトを外してレベルチェックを行うと、「何も読めない」「全くわからない」という残念な結果になってしまうことも少なくありません。

そのことにお子さん自身、そして保護者の方がショックを受けてしまうこともあります。保護者の方の落胆が大きすぎて、私もいたたまれない気持ちになった経験もあります。

でも、厳しく聞こえてしまうかもしれませんが、それが、現在のお子さんの実力です。

まずはそれを認めて対策を考えることで、今後の道のりをつくることができるのです。

今すぐ、お子さんが完璧である必要もありません。

今すぐ、すべてのプロンプトを外してできるようになる必要もありません。

でも、今英語を学んでいるお子さんがいらっしゃる方はぜひ、今日お伝えしたようなプロンプトを外した状態でお子さんがどこまでできるのか、確認してみてはいかがでしょうか。

ご自分では確認が難しいという方は、中目黒スマイル英語教室でレベルチェックも行っておりますのでお声がけくださいね。

 

コメント

error: Content is protected !!