英検6・7級が新設へ!
小学生専門講師として「こうなってほしい」と思う3つのポイント
11月末に、英検協会から
来年度から英検の6級・7級が新設される という発表がありました。
まったくの想定外だったので、正直かなり驚きました。
英検の級は時代とともに次々に新設されていて、最近では
「準2級プラス」 という級もできています。
それぞれの級で求められる内容が細かく分かれているので、
少しずつ段階を踏んで進みたいお子さん・ご家庭にとっては、
とても良い仕組みだと感じています。
この記事では、
「小学生の英語学習の現場を知る英語教師」として、
新設される6級・7級がこんな級になってくれたらうれしいな
という「希望」を3つお伝えします。
今回の記事を、より詳しく動画でご覧になりたい方はコチラ
英検5級は本当に「一番やさしい級」なのか?
以前、こちらの記事でもお伝えしましたが、
英検5級は「基礎的な内容」とはいえ、小学生の英語初心者がいきなり受ける級としては、かなりハードルが高い です。
私は、
5級で求められる内容まできちんと学習して、
「英語を使える状態」にしてから受験する
ことをおすすめしています。
でも実際には、
-
「一番簡単な級だから」
-
「まずは5級から取りたい」
という理由で、英語を学び始めたばかりの小学生がすぐに5級を目指す ケースも少なくありません。
しかもそれは、多くの場合、
-
子ども自身が「受けたい!」と言っているというよりは
-
保護者の方が「英検を意識して、5級の受験を希望される」
というパターンが多い印象です。
英検を受験するお子さんの年齢がどんどん下がっていることで、
5級を受ける小学生も増えていますが、
「5級に合格はしているけれど、5級の内容がちゃんと分かっているとは言えない」
というお子さんも少なくありません。
その結果、
-
基礎に穴があいたまま
-
そのまま次々と上の級を目指してしまう
という弊害を、私はとても懸念しています。

6級・7級に込めたい「現場の先生としての期待」
そういう意味で、今回の 6級・7級の新設 は、
小学生の英語学習にとって大きなターニングポイントになる可能性があります。
ただし、現時点ではまだ中身が正式には発表されていないので、
「こうなる」という話は誰にもできません。
そこでこの記事では、
小学生の英語学習の現場を知る英語教師として、
「こんな級になってくれたらいいな」 という希望を3つ
書いてみたいと思います。

① 文法:まずは「be動詞だけ」にしぼった級がほしい
1つ目は、文法面のステップのつくり方 です。

私は、今回の6級・7級のどちらかで、
「まずは be動詞だけを扱う級」
があったらいいなと思っています。
先日公開した
「中1『英語の壁』でつまずかない!小学生から備えられること」
という動画でもお話ししましたが、
-
英検5級ではすでに
-
be動詞
-
一般動詞
が両方出てきます。
-
-
ところが、この2つの区別があいまいなまま5級を受験している小学生がとても多い のです。
もし、5級より前の段階に
-
be動詞だけをまず完全に理解する級
-
そのあとで、一般動詞をしっかり学んでから5級に進む
という 2段階のステップ をつくることができれば、
子どもたちの混乱は、かなり和らぐのではないかと感じています。
② 単語・フォニックス:読む力と級の段階がつながってほしい
2つ目は、単語・フォニックスに関する期待 です。

理想を言えば、こんな段階になってくれたらうれしいです。
-
7級
-
一番やさしいフォニックスのルールで読める単語が中心
-
-
6級
-
もう少し複雑なルールで読める単語にステップアップ
-
-
5級
-
その後に、さらに語彙と文構造を広げていく
-
現状の5級では、
「書かれた単語を読めるかどうか」は問われません。
そのため、
-
単語をきちんと読めないのに
-
文字だけを「なんとなくの見た目」で選んで解いている
というケースも、現場では実際によく見られます。
これは、私が
「英検合格だけのための英語学習」に反対している理由
のひとつでもあります。
本来は、
-
フォニックスを学んで、読める単語を増やしていく
-
そのうえで、自分が読める・使える単語がたくさん出てくる級を受験していく
という流れになっていくと、
英検を目指すことが、そのまま「読む力」「使える語彙」を育てることにつながる
と考えています。
6級・7級が、その「橋渡し」をしてくれる存在になってくれたら、とても心強いです。
③ 合格最低点:もう少し高くてもいいのでは?
3つ目は、合格ライン(合格最低点)に関する期待 です。

これは、6級・7級に限った話ではなく、
英検全体の級に共通して感じていること なのですが、
「英検の合格最低点、もう少し高くてもいいのでは?」
と、前から思っています。
現在、5級・4級・3級くらいだと、
-
おおよそ6〜7割を正解すれば合格している
ようです。
もちろん、たくさんの子どもたちに受験のチャンスを開くという意味では、
合格ラインがある程度やさしいことにも意味はあります。
ただ、3級までの内容というのは、
本当に「英語の基礎の基礎」
です。
そこを、
-
基本的な問題をかなり間違えても
-
それでも合格できてしまう試験にしてしまって良いのか?
という疑問を、私はどうしても感じてしまいます。
合格しやすくなる一方で、
「次々と合格してしまうから、基礎に穴があっても、そのまま次の級を目指してしまう」
という状況も生まれているのではないでしょうか。
5級より簡単な 6級・7級については、むしろ合格最低点をもう少し高めに設定してもよいのでは と感じています。
-
やさしい内容だけれど
-
しっかり身についていないと合格できない級
として運用されることで、
「じっくりと基礎を積み上げながら、ステップを踏んで受験していく」
という流れがつくれたら、とても良いなと思っています。
英検はゴールではなく「英語の土台を固める通過点」
以上3点が、
新設される英検6級・7級に対する私の「勝手な希望」 です。
6級や7級が、実際にはどのような級になるのかは、
現時点ではまだ全くわかりません。
ただひとつ願っているのは、
英語を学ぶすべての子どもたちにとって、
英検を目指すことが「英語の定着」をスムーズにする制度になってほしい
ということです。

英検は、ゴールではありません。
-
「合格した・しなかった」で一喜一憂するためのものではなく
-
「英語の土台をしっかり固めるための、ひとつの通過点」
として活用していけたら、
子どもたちにとっても、保護者の方にとっても、
もっと意味のある受験になるはずです。
これからの6級・7級の動きを、一緒に見守っていきましょう
6級・7級の具体的な内容が発表されたら、
このブログやYouTubeチャンネルでも、
-
小学生の英語学習
-
フォニックス
-
文法のステップ
といった視点から、改めて詳しく解説していく予定です。
💭「うちの子は、いつ・どの級を受けるのがいいんだろう?」
💭「そもそも、今は英検を受けるタイミングなのかな?」
といったお悩みがある方は、ぜひ気軽にご相談ください。
お子さんにとって「ちょうどいいタイミング」と「ちょうどいい級」を、
一緒に考えていけたらうれしいです。



コメント