本物の英語教育を見極める力
先ほど述べたAIを例にとれば、私たちはその進化に驚かされる一方で、表面的な華やかさに惑わされてしまうリスクも抱えています。
この問題は、英語教育の現場にも共通して言えることです。
他のすべての分野と同じく、英語教育にも「本物」と「なんちゃって」が存在します。
見た目や広告のインパクトに惑わされず、何が本物なのかを見極める力を育てることが、これからの時代にますます重要になっていきます。
「教育の本質」を理解していない教室
星の数ほどある子供向けの英語教室。私は、情熱をもって英語を指導している先生方を大勢存じ上げています。そういう方たちと今も同じコミュニティに属して学びを進めており、それができることをとても幸運に感じています。
でも、なかには、そうではない教室もあるのです。
1. 模倣や流行を追う教室
英語教育の分野では近年、目を引くキャッチコピーや感動的な成功談、SNS映えする教室の写真であふれかえっています。
しかし、それが本当に効果的であるかどうかは別問題です。
特に危険なのは、「にわか教師」や、表面的な流行や一時的な利益を追うだけのスクールです。
他の教室や人気の教材を模倣すること自体は簡単です。あたかもそのメソッドを完全に理解して実践しているかのように見せることができるかもしれません。
でも、模倣はしょせんは模倣。本質を理解していなければ、子どもたちの本当の成長にはつながりません。
2. AI頼みの教材
また、AIの進化に伴い、教材やレッスンの一部をAIに頼る教室や教材も増えています。
もちろん、AIを適切に活用することは効果的な場合もあります。私もAIを活用しています。
AIを効果的に活用する際に気をつけなければならないこと。それは、AIが万能でないことを理解し、それを人間が補完することです。
AIはツールの一つでしかなく、それ自体が子どもたちに寄り添った教育を提供できるわけではありません。
AIを教育に使う場合には、「AIがなくても効果的な指導ができる指導者」が、「自分の思い通りにAIを活用するスキル」をもって、AIを利用しなければならないのです。
そういう環境が整わないまま、AIにカリキュラムや教材を丸投げするようなことがあってはなりません。
本物の英語教育には「深さ」と「情熱」が必要
英語教育の本質は、流行やメソッドに頼ることではありません。
それは、子どもたちが成長できるような環境と指導法を整え、ひとりひとりの成長に寄り添い、彼らが自分の力で主体的に学びを進めていける環境をつくることです。
本物の教育には、以下のような要素が不可欠です。
- 深い理解と経験: 指導者自身が英語教育について深い知識を持ち、経験から得た洞察を持っていること。表面的な理論ではなく、実践で培われたノウハウを持っていることが非常に大切です。指導者が深い理解や経験を持っていないと、子どもたちにも、深い理解や定着が期待できません。
- 個別対応: 子どもたちはひとりひとりが異なる存在。同じメソッドですべての生徒に対応することは不可能です。個々の性格や学び方に合わせた対応が必要です。
- 愛情と情熱: 指導者自身が子どもの成長を本気で願い、成長が見られたときに心から喜びを感じる姿勢が重要でしょう。これがなければ、どんなに優れた教材やメソッドがあっても、心の通わないつまらない学習になってしまいます。
本物の英語教育を提供する教室の特徴
では、「本物の英語教育」とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
私の考える「本物の英語教育」をお伝えします。
1. 子ども中心の学びを大切にしている
本物の英語教育では、指導者は「教える人」として一方的に教えるのではなく、子どもが「学びの主体」となる環境を提供しています。
指導者はガイド役として、生徒一人ひとりが自分で考え、試行錯誤できるようサポートします。このアプローチにより、英語力だけでなく、自信や自主性、問題解決力も育まれます。
具体的には、次のような環境が整っていると理想的です。
- 生徒が積極的に発言する場面を大切にしている。
- 教室内のさまざまなコミュニケーションを重視している。
- 生徒の興味や個性に合わせた活動が取り入れられている。
2. 短期的な成果にとらわれない
派手な広告では「〇ヶ月で英語がペラペラに!」といったフレーズを目にすることが多いですが、本物の教育はそんな短期間での成果を目指していません。
本当に大切なのは、時間をかけて「使える英語力」を築くこと。それは地味で目立たないアプローチなのです。
英語教育はマラソンのようなもの。急いで進めば逆に途中でつまずいてしまうことが多いのです。そして、いったんつまずいてしまうと、スタート地点からやり直さなければならないという残念な結果になることも。
信頼できる教室では、以下のような長期的視点が見られます。
- 英語の基盤となる力を大切にしながら、応用力を徐々に育てる。
- 目先のテストの点数だけでなく、コミュニケーション能力や文化理解も重視する。
- 生徒のペースを尊重し、無理な詰め込み教育を行わない。
3. 指導者が生徒の成長を真剣に考えている
指導者の質は教室の良し悪しを大きく左右します。
本物の英語教育を提供する教師は、生徒の成長に真剣に向き合い、情熱を持って指導に取り組んでいます。
次のような指導者を見つけることができれば、英語教育の良いスタートを切ることができると思います。
- 常に新しい教育方法や教材について学び、自分自身も成長し続けている。
- 生徒一人ひとりの得意分野や課題を把握し、それに応じた指導を行っている。
- 生徒が英語を好きになるような楽しい環境をつくり出す。
特に、教師が単に「英語を教える」だけでなく、「生徒の未来を共に考える姿勢」を持っていることが重要です。
4. 学ぶ楽しさを提供している
英語の習得は長い道のりだからこそ、楽しさを感じられることが重要です。「学ぶ楽しさ」を提供する教室では、以下のような工夫が見られます。
- 子どもたちが夢中になれるアクティビティを取り入れて、自然に英語が身につく工夫がされている。
- 子どもたちが考えて成長する「楽しさ」も実感できるようなレッスンを行っている。
- 生徒の努力をしっかり認め、成長を実感できるフィードバックを行っている。
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